【前編】「新しいことを学び続ける」という成長の原動力 ー 製薬企業で活躍する梨本遥馬氏インタビュー

学び続ける

はじめに

本インタビューでは、東京大学大学院修士課程を修了後、製薬企業で医薬品開発に携わる梨本遥馬氏にお話を伺いました。梨本氏は、横浜市にある聖光学院を経て東京大学理科二類に進学、大学・大学院では薬学を専攻し薬物動態の研究室に所属した経験を持ちます。現在は、製薬企業で臨床試験の統計解析業務に取り組む医薬品開発分野のプロフェッショナルとして活躍されています。

前編では、梨本氏の学びの原点となった中高時代から、東京大学での学生生活を中心にお届けします。コツコツと積み重ねる学習スタイル、そして新しい知識を吸収することへの純粋な喜びーこれらの要素がどのように形成されてきたのか、中高生や大学生、そして将来の進路を考える若者たちにとって必見の内容です。後編では、製薬業界でのキャリアと専門性を高めるための継続的な学びについてご紹介します。

学びの原点 ー 中高時代の学習スタイルと成長

ーー まず、小学校から中学、高校時代について、どのような学生生活を送られていたのかお聞かせください

小学校は横浜市の公立小学校に通っていました。中学受験塾に通う一方、他には水泳教室にも通っていました。その後、中学受験をして横浜の男子校で中高一貫校の聖光学院に入学しました。中高時代はテニス部に所属していました。

ーー 受験対策や学校での勉強について、梨本さんご自身の「学習のスタイル」に何か特徴はありましたか

一夜漬けのような短期集中型の勉強はあまり得意ではなく、毎日コツコツと勉強を続けるスタイルでした。科目による得意不得意はそれほどなく、比較的理数系が好きだったので理系に進みました。全体的にまんべんなく勉強するタイプだったと思います。

ーー 勉強に対する姿勢について、そもそも勉強自体は好きだったのでしょうか

好きだったから続けられたのだと思います。小学校の頃は自分から塾に入りたいと言ったと親から聞いています。もちろん、ゲームなどの誘惑もありましたが、試験前などは自分で制限するようにしていました。

ーー 長期間にわたって勉強を続けるモチベーションを保つコツのようなものはありますか

新しいことを知ることや、できないことができるようになるというところがモチベーションになっていたと思います。それはスポーツや音楽、料理のような分野でも同じだと思います。最初は思うように弾けなかった曲が少しずつ弾けるようになったり、何度も挑戦しておいしく作れるようになったりすると、やはり嬉しいですよね。自分の場合は、それが勉強に向いていたのかもしれません。新しいことを理解して、自分の中でつながっていく感覚が楽しくて、それが続ける力になっていたのだと思います。

東京大学での学び ー 自律的な学習力の獲得

ーー 大学生活では、高校までの学習とどのような違いを感じましたか

大学では主体的な学習力がより求められるようになります。特に1年生の頃は何をどう勉強していけばいいのか分からない部分がありました。

中学・高校までは、基本的に「与えられた課題をこなす」ことが中心でした。例えば、授業で扱う範囲が明確で、定期テストや受験に向けて、どれだけ効率よく理解し、暗記できるかが重視されていました。一方、大学に入ると、「何を学ぶか」「どうやって学ぶか」を自分で考える必要があります。たとえば、授業では、教授が提示するテーマをただ聞くだけでなく、「この分野の背景にはどんな研究があるのか」「自分はどの部分に興味を持つのか」を自分で掘り下げていきます。特にレポート課題などでは、正解が一つではなく、自分で情報を集め、仮説を立てて、論理的にまとめる力が求められました。

中高までの学びが「決められたゴールに向かって走るマラソン」だとすると、大学での学びは「自分で地図を描きながら進む探検」に近いと思います。その自由度の高さに最初は戸惑いましたが、自分で課題を見つけて解決していく過程は、今の仕事にも通じていると感じます。

ーー 大学では授業時間外でどのような活動をされていたのでしょうか

ESSというサークルに所属していました。英語を話す機会を持ちたいという気持ちと、良いコミュニティだと思ったことが理由です。

活動としては、週に数回、英語でのディスカッションやスピーチ練習を行っていました。テーマを自分たちで決めて英語で意見交換をしたり、スピーチ大会に向けてスピーチ原稿を作って発表したりと、主体的に取り組む場が多かったです。英語力だけでなく、論理的に考えたり、人前で話したりする力も鍛えられたと思います。サークル活動を通して、授業とは違う形で学びの楽しさを実感できたことが印象に残っています。

ーー 自分の希望する大学に入学するために重要なことを3つ挙げるとしたら何でしょうか

勉強する習慣を身につけることが最も重要だと思います。ただ「やらなければならない」ではなく、知ることや理解することの楽しさを感じられたから、苦しいと感じずに習慣として続けられたと思います。

自己成長を続けるマインドを持つことも重要だと思います。新しいことを知る喜びや、できなかったことができるようになる達成感を感じることで、勉強そのものが面白くなり、自然と学びが続くようになります。また、話は変わりますが、規則正しい生活を送ることも大切だと思います。特に睡眠はしっかりとるようにしていました。   


※内容や肩書は2025年11月の記事公開当時のものです。

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